文春が文春たる所以と芸能界の体質

松本人志の性加害報道を掲載した「週刊文春」が高らかに「完売宣言」をした。対する松本は活動休止の上、逆風の報道に晒され続けている。ことは法廷闘争に突入する前に、明暗がくっきり分かれてしまった状況だ。なぜ、このような状況が生まれてしまったのか――。業界関係者の声とともに沖田臥竜が分析する。
沖田臥竜 2024.01.17
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 いつも思うことなのだが、芸能事務所の広報担当は日頃、一体何をしているのだろうか。そして、ダウンタウン松本人志さんの問題で、コメンテーターや芸能人が「この問題を取り上げれば、週刊誌だけが儲かる」みたいなことを耳にするが、そもそもこれだけネットが普及している現在で、紙媒体が儲かるなんてことがあると本気で思っているのか。相手の実態を知らないで、表層的な批難をするだけで対抗しようとするから勝てないのだ。

 いいか。「週刊新潮」は十万部を切り、「週刊文春」も数年前に比べると部数を落とし、アベレージが17万部あたりだ。

 「週刊ポスト」と「週刊現代」は、週刊誌というものの、実際は毎週は出せていない。どの週刊誌も生き残るために必死で戦っているのだ。一つのネタや事件が当たったからといって、そうした状況を打破などできるわけないだろう。

 そんな状況を踏まえて、芸能事務所、テレビ、週刊誌、ネット媒体は持ちつ持たれつの関係が構築されている。それに上下をつけられて、芸能人ばかりが偉いみたいな態度を取られ、たかだか週刊誌、たかだかネット媒体が…と言われ、いざ持ちつ持たれつの均衡が破れた時には、ぶち当たってくるに決まっているではないか。

 私はそうした状況をちゃんと踏まえた上で、ダウンタウンの松本人志さんを応援しているのだ。ジャニーズでもそうだ。

 ダウンタウンにしてもジャニーズにしても思い入れはもちろんある。ファンかファンではないかは別として、ジャニーズを観て、ダウンタウンを観て、育ってきたのだ。それを大勢で戦う理由に私は賛同ができないという話で、そもそも大勢ですでに弱者となっている相手を叩きまくるというのが気に入らないのだ。それは弱いものイジメでしかない。

 私はそうした中で、ペンを握っている。ここに私のペンを握る矜持があるのだ。その矜持には二つあって、一つは小説家として物語を生み出すこと。もう一つが自分の大切なことを守ることだ。

 後者の自分の大切なことを守ることだが、吉本の広報担当は常日頃から、それが出来ていたのか。はっきり言ってすまぬが、常日頃からメディアに対して高圧的な態度を取ってきて、反感を買っていたぞ。

 もしもこれがうまく出来ていれば、どこの編集部だって人間の集まりだ。

「ほどほどで」

 と記事化をやわらげることだって出来ていたかもしれないのだぞ。当たり前ではないか。仲の良い人間と嫌いな人間を記事化するときに、原稿が同じになると思うか。

 吉本は数年前のあの騒動から、一体何を学んだのだろうかと私には思えてならない。裁判は松ちゃん個人で…。そんなスタンスで、日頃は横柄な態度で広報担当が週刊誌やネットメディアに対応するから、いざというときに火がついてしまうのではないか。これは大手事務所全部に言えることだ。

 少なくとも、私は相談されれば色んな媒体に頭を下げてきた。みんな仕事だからだ。もちろん現場レベルでは文春にだってだ。それで感謝されないとき、いつも虚無感に襲われるが好きでやっていることである。腹が立ったとしても、関係者や知ってる人間が傷ついたりするよりは何十倍もマシだと思っている。それに私が決めたことだ。愚痴で済めば良いと思っている。

 勝てるとわかっている戦いほど私はつまらないと感じる。勝てない戦いとわかっていても、参戦すれば弱者側で戦っていきたいと思っている。何かあると大勢で群れて文句を言う行為を、私は人間として最低だと思っている。

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