『インフォーマ』ATP賞受章から見える、作り手としての“唯一無二”の世界観

40代最後にして、人生で初めての賞を貰ってしまった。全ては私のお陰である……失礼、ウソである。
これは紛れもなく、『インフォーマ−闇を生きる獣たち−』に携わってくれた全ての人々のお陰でしかない。「良かったな」って言ってやりたいよ。『インフォーマ』にも、オレ自身にも……。
ずっと賞とは無縁のような人生であった。だからというわけでもないが、賞を受賞する喜びも知らなかったし、そこを意識したこともなかった。
だけどである。賞を貰うとすげえ嬉しいのな。周りもみんな笑顔だしな。「おめでとう!」とか言われるわけじゃん! 幸せな気分にもなれてしまうのだ。
50を目前にして思う。賞をもらうと良いことをしたような幸せな気分になれるのである。
『インフォーマ』の戦いは関西テレビから始まった。私がプロットを叩き、それを読んで映画監督の藤井道人監督が企画書を作ってくれ、それを私がカンテレの友人に持って行ったのだ。
私はただの小説家でもなければ、単なる監修者だけでもない。それは藤井監督を始め、『インフォーマ』に携わってくれた人々、全てなのだが、作品を作りたいなら、出来ることは全てやると考えている。既存の概念などには囚われたりしない。クランクインを迎えるまでなんだってやり、オールアップするまでも出来ることをやる。そのあとの編集作業だってそうだ。
それが偉いかどうか、凄いかどうかとかではなく、それぞれの立場を尊重しながら、放送終了まで、仮にここで朽ち果てたとしても、悔いだけは残さないように出来ることは何だってやる。その上でバランスである。
それが整えば、私は自分の拘りに囚われるようなことは間違ってもしない。それぞれの意見を尊重し、その中でどうすれば面白くなるか考えていくのである。
それが私の作品作りの付き合い方だ。色々な考え方、やり方があるのは当然だが、私はゴールインする為ならいくらでも妥協ができる。ただその妥協が情熱なきものではなく、時として必要不可欠なものなのだ。
現場である。良いものを作らなければならないと同様に、撮影現場が楽しくなければ意味がない。