ジャニーズ事務所が「STARTO ENTERTAINMENT」へー新たなスタートに感じる違和感
STARTO ENTERTAINMENTのHPには、社名に込めた思いが綴られる
なんだか嫌な気持ちにさせられる。いつからだろうか。代表取締役のことを何の疑いも持たずにCEO(最高経営責任者)などと平気で口にするようになったのは。少なくとも昔はそんな横文字で組織のトップを呼ぶなんてことはなかったはずだ。そういうところに違和感を覚えなくなったことが思考の低下だと思うのだが、どうだろうか。CEO…えらく薄っぺらい呼称である。
STARTO ENTERTAINMENTのCEOに福田淳氏が正式に就任したことで、ジャニーズを愛するファンからブーイングの声が上がっている。それはそうではないか。少なくとも、ジャニーズ問題の火付け役。つまりは、ジャニーズ問題を社会問題にしたのは「週刊文春」である。
文春がジャニーズ問題を社会問題にまで発展させたのである。そのシナリオは割愛するが、メディアとは生き物である。予想通りに転がるかどうかは分からない。だが、文春は仕掛けたのだ。過去、自分たちがどれだけ報じても、他のメディアは後追いしようとしないジャニーズ問題を、どうすれば他のメディアを巻き込んで社会問題に発展させることが出来るか。
文春の前編集長が考えに考え、ここでいかなければならないと打って出たのが、外国特派員協会での記者会見だ。この時、編集部内でさえ、記者会見には消極的であった。実名で記者会見など無理があるのではないかとの意見が大半を占めていた。
それでも、そうした声に日和ることなく記者会見を実行した。このときの文春サイドの狙いは、NHKと共同通信を巻き込むことであった。その目論見が見事に的中し、記者会見の翌日にNHKが報じたことで事態は一転する。NHKを皮切りに、各メディアが追随し、最終的にはジャニーズの名称を消滅させて見せたのだ。メディア側として見た場合、それは功績と言えるだろう。文春の破壊力を業界内に示した瞬間でもあった。
やはり文春という媒体は、頭ひとつ飛び出ていると認めざる得ない。だからこそ、他の媒体は打倒文春を掲げているのだ。そこには議論の余地すらない。ただな、STARTO ENTERTAINMENTの代表となった福田淳氏が、文春の独占インタビューに応じるのは違うのではないか。ジャニーズからすれば、文春は憎き敵となるはずではないのか。少なくとも、暗黙のNG媒体でなければならないのではないのか。それを独占インタビューに応えてみろ。
ジャニーズを愛する人々が、福田氏に疑念を抱くのは当たり前ではないだろうか。
私は書き手である一方、メディアコントロールの会社を経営しているので、その立場で言えば文春あっぱれというところだ。だが、文春と繋がりのあると言われている福田氏が社長に就任することで、それがメディアへの抑えとなるなどと安易に考えているのならば、大間違いではないか。なぜならば、文春を抑えたところで、他のメディアを抑えることができると考えるのは軽率だからだ。舐めんなよ、と余計に反発するのが普通ではないか。メディアは全てライバルなのだから。私は小説家としての自負が強い。だが本気を出せば、例え文春でも負けるとは思ってはいない。