ルポ尼崎

良くも悪くも「個性的な街」として、全国から独特なイメージを持たれている尼崎。
その尼崎が、昨今ドラマのロケ地として使用される頻度が高まった裏には、この地で生きてきた沖田臥竜と、そんな沖田を支えたある人物の存在があった――。
沖田臥竜 2022.10.15
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 ここ最近、NHKのドラマなどでもそうだが、尼崎を舞台とした作品がTVで放送されるようになった。

 私は物事に対して何事も満足するほうではなく、すげえ後悔をする性格だが、それでも過ぎたことに対して、立ち止まるようなことはしない。

 後悔を抱えながらも、次へと進んでいる。

 なぜならば人生の時間は限られていて、いちいち立ち止まっている暇がないからだ。

 それでも、随分と回り道してきた分、人の何十倍も働いてきたと思う。それだけではない。回り道してきた過程の中で、培ってきたもの。例えば人の心の痛みとか自分の弱さとか、人に対する感謝とか、学んできたことを糧に変えて生きてきている。

 その結果として、仕事に明け暮れて、犠牲にしてきたことも勿論あるけれど、到底、誰も真似をできないことを成し遂げた自負があったりする。

 例えば、尼崎が現在、ドラマのロケ地で使われるようになったのは、すまんが私のお陰である。

 コロナ禍の中、少ない制作費で、尼崎を舞台にしたドラマ「ムショぼけ」を撮りきったからだ。

 尼崎という街を歩ければ、何人もの尼崎市民に「続編をやって欲しい」という声をかけられ、あまり言いたくないが、尼崎観光局を始め、「ムショぼけのお陰で、ロケ地で使われるようになりました!本当に有難うございます!」と、お礼を述べられたりしている。それは決して世の中には伝わらないことだろう。だが、自分の偉業は自分で分かっていればそれで良いと思っている。身につけたものは他人の力ではなく、自分の財産になるからだ。

 そうした面で考えると、申し訳ないが街の活性化を私がやったわけであるが、ただそれは私ひとりのお陰だけでない。私が精神的に随分と参り、もう小説を書くのをやめようと本気で考えた際に、「ちょっと待ってください!一緒にドラマをつくりませんか⁈」と熱心に口説いてくれた映画監督がいたからこそ、実現させることができたのだ。

 もちろん、私はその監督が人間的に大好きで、監督が困れば精一杯、力になろうとしたからこそ、お互いに培うことができた関係性だ。

 親友だとか家族だとか、誰でも簡単に口にする薄っぺらい言葉を私は大嫌いだが、それでもその監督が困っていると聞けば、私は彼をほっとくことができないだろう。

 私にとって彼は親友であり、兄弟みたいな関係であり、多分、私が好きな言葉ではない、ファミリーなのだと思う。彼が言った一言を私は多分、この先も忘れないだろう。精神的にほとほと参っていたときのことだ。

「オレが沖田さんを支えますよ!」

 私はどんな苦境に晒されても、仮に自分が命の瀬戸際に立たされても、誰も頼ることはない。だが、人生において支えになった言葉は確かにあって、彼のこの言葉に当時どれだけ救われたことか。

 私はどちらかと言うと熟考し、我慢して我慢して頭に来たら口に出してしまうタイプだろう。だけど、どんなことがあっても「彼ならば良いか」と最終的になってしまうくらいの信頼がある。

 ドラマ「ムショぼけ」は低予算の中で始まり、尼崎での撮影は随分と無理であった。

 それでも「ムショぼけ」のロケ地は尼崎でないと意味がないと最後まで譲らなかったのが、彼であった。もしもそれがなければ、尼崎を舞台にした、そのあとに続くドラマはなかったと思う。尼崎の活性化の功労者は、実は彼であることを私は知っている。

 尼崎という街も、かんなみ新地がなくなり、随分と静かになった。だけど、人が寄り添い営みを行う限り、そこには家の灯りの数だけの人間模様が存在する。それは何も尼崎に限ったことではない。どこの地域においても多少の風習や文化の違いはあれど、暮らしという営みが存在する限り、人々の喜怒哀楽もまた存在している。

 さて、ルポ尼崎である。尼崎について触れていきたい。すまん、ここからはタブーも存在するので有料である。すまんすまんである。

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