人生に「自分だけの武器」を

前回に続いて、沖田臥竜が関わったある映像作品とその出演俳優をめぐる騒動の舞台裏を公開する。
ただし、暴露話をしたいのではない。そこにかかわる人々の「人間性」や「志」を問いたいのだ。そして、そこまで言ってのける沖田自身が、この業界に求められてきた最大の理由を知ってもらいたいのだ。それこそが「自分だけの武器」を持つことの重要性につながるのだ――。
沖田臥竜 2023.05.01
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監修を務める映像作品の撮影現場に向かう車中での一コマ。本音では行きたいないが、でもやはり、そこに向かってしまうのだった――。

監修を務める映像作品の撮影現場に向かう車中での一コマ。本音では行きたいないが、でもやはり、そこに向かってしまうのだった――。

 プロデューサーといえば、少し偉そうにしているイメージがある。実際にそれだけ偉いからだろう。

 だが、これまで私が仕事で関わったプロデューサーはみんな良い人が多く、偉そうにしてくる人はいなかった。しかし、初めてではないだろうか。アメリカに直接、雇われているかなんだか知らないが、あそこまでプロデューサーという肩書きにあぐらをかいているようなヤツは。

「これだけは分かってください。私は謝りに来たんです」

 一度、席を立ち、頭を冷やしてきたというアメリカかぶれは、そう言って席についた。

 私も制作にかかわる作品の撮影現場で、ある俳優がヤクザの名前を出してきたのだ。それも自分が、その場で優位に立つためだけにだ。それに対しては、その後、所属事務所から謝罪があったので、私を事実を公にせず、目を瞑った。なのに、それを蒸し返したのは、ある俳優である。

 それなのに、私はその作品の制作現場では散々な扱いを受け、「もう行きたくない」となったのに、スタッフに食いさがられ、さすがに「おかしいやろう」と言えば、呼んでもいないアメリカかぶれがやってきて、「好きにしてもらって結構です」みたいなことを言われて、黙っていると思うか。すまんが、私は黙っていない。有料記事を読んでいる人はもう知ってると思うが、吐いたツバを、飲ますようなことはさせない。

 コンプライアンスに関する過程の中で、私への失礼の度が超えたのだ。正式に謝罪をしている? それが向こうからあれば、私だって溜飲を下げただろう。しかし、どうだろうか。

 その俳優はアメリカ志向が強いというが、アメリカがそんなに凄いと思うのならば、アメリカに行って勝負すればいいだろう。全然、かわいそうでなければ、呼ばれてもいない人間が横柄な態度をとったお陰で、結局、ことの発端はなんだったのか、となっていくのだ。

 一度でも「好きにしろ」的なことを私に言えば、もちろんその通りにするに決まっている。

 すまないが、私は銭金で生きていない。落としどころなんてない。ただ、余計に気分を害させたのならば、ちゃんと「先日は本当にすいませんでした」くらいのことは向こうから言ってくるべきではないのか。それなのに、アメリカかぶれのプロデューサーは、呼ばれてもいないのにやってきて、話しをややこしくさせ、開き直るのである。

 メディアコントロールの仕事などをやっているとよくあることだが、問題の当事者たちは、ことが起きてから慌て出すのである。吉本芸人の闇営業問題だって実際そうであった。転がり出してから、慌ててももう遅い。

 私のような危機管理のプロにとっては、そもそも何も起こさないことがいちばんの成果なのだが、そのプロの力によって危機を脱した当事者は、得てして、自分自身に実際に不祥事が降りかかってこなければ、私のような立場の人間に感謝できないケースが多い。すまん。愚痴である。それでも現場に呼ばれて、新幹線を2時間も待たされてみろ。1ミリも行きたくない地方の現場から帰るために2時間待ちだぞ。愚痴ぐらい言いたくなって当然ではないだろうか。

 それにしても、プロデューサーという肩書きがそうさせているのだろうか。私のことを全く理解していなかった。

 どうして、私がこのように仕事できているか。大手芸能事務所に気を使ってばかりで、少しも考えが及んでいなかったのだろう。だったらせめて謙虚さくらいなければ、周囲が迷惑するのではないか。私はそう思うがな。

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