オレとジョニーときどきフク〜バンコクは40℃にて〜②
その微笑みの国では、日本とは異なるアツさのもと、日常的な出来事も、非日常に感じられることも多いようだ――。
タイ・バンコクより
異国の地で、彼に委ねた私がバカであった。
5月8日
「沖田さん〜どうしますかっ?」
現場終わり、たずねてきたジョニーに首を傾げた。
「う〜ん。そうやな〜。マッサージ行って風呂やな〜」
「おっ!ゴールデンコースですね!だったら風呂からのマッサージですよ!一日の疲れをスパでスパッと洗い流してからマッサージですよ!」
それが嫌だったのだ。ジョニーのエセ英語は、全くタイ人に通用しない。なんだったら、英語のできない私のほうが、タイ人のタイ語を聞いてジェスチャーで説明できるほどである。
「あれはウケたな〜。英語の全くできない沖田さんがタイ人のキャビンアテンダントに、ビアー!って言うのに、未だにビール来ないって。あれっ使っていいですか!」
私の不安などジョニーはつゆとも知らず、にやけた表情で近くのスーパー銭湯をググっていた。
「やっぱりあかん。またタイ式マッサージ行って、オイルをベタベタに塗られたら気持ち悪い。先に風呂や」
ジョニーの「ノーオイル〜オッケー?イエスイエス」はタイでは通用しない。
「風呂に浸かってからマッサージだとスッキリするのにな〜」
分かってないな〜といった表情のジョニー。結局、それが一部正解ではあった。
指圧されている私の横のベッドで「沖田さん。痛ければ言ってくださいよ。ぼくが伝えますんで〜」と言ったのも束の間だった。ジョニーはのび太くんだったのか。いびきをかいて爆睡し出したのである。そんなことでは、私はもうびくともしない。慣れたものである。